・・・ マクシム・ゴーリキイが五つで父に死なれて後、引取られて育った祖父の家の生活は、無知と野蛮と、家長の専制とで、恐るべく苦しいものであった。農奴解放は行われたが、その頃のニージュニ・ノヴゴロドの下層小市民の日常生活の中心では、まだ子供を樺・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・ 一八六一年にアレキサンダア二世が欺瞞的な農奴解放を行い、ゴーリキイが生れた時分、もう農奴制そのものは廃止されていたけれども、二百五十年にわたったロシアの農奴制によってしみこんだ封建制は、家庭の内に信じられない父の専制、主人と雇人との間・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ロシアでは一八六一年農奴解放が行われたが、これはドイツにおける農奴解放と同様にこれまでの農奴として地主のために賦役させられた農民が、今度は生きるために「自分の意志」で賦役制度にしたがわなければならないことになった。農民の貧困は改善されなかっ・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫