・・・附記 これは一九四六年十月二十九日、新日本文学会第二回大会で行った「文壇及び文学の一般情勢」という報告を整理したものです。この報告では新しい方向に研究を展開しはじめている国文学、短歌、俳句、戯曲、児童文学等についてふれることができま・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・由にゆき来し、いろいろな作家が、いろいろの鏡、いろいろの角度で、内と外からそれぞれの国の生活を互に映し、互に表現し合い芸術化してゆく愉しさこそは、この地球に生れ合わしたそれぞれの時代の人間の真の歓喜と富貴であると思う。 アンデルセン・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・由にゆき来し、いろいろな作家が、いろいろの鏡、いろいろの角度で、内と外からそれぞれの国の生活を互に映し、互に表現し合い芸術化してゆく愉しさこそは、この地球に生れ合わしたそれぞれの時代の人間の真の歓喜と富貴であると思う。 アンデルセン・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・附記 「春桃」一巻の本文、特に主人公たちの名前を、編者は親切に中国の発音に準じてフリガナをつけていてくれる。しかし、作者たちの名に、それがついていない。日本の読者の悲しみは、愛する落華生を、忘れられない葉紹鈞を、どう発音したら、中国・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・(附記。私は猶、胸にのこる多くの感じを持っている。先生の人としての生活を考えるとき、言葉は此処でつきない。けれども、現在、学校に勤められ、複雑な事情の許に置かれる先生の上を考えると、私の殉情はよい結果を齎しそうにない。筆を擱・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・富豪の思いものとなったのが本当なら、もしや、あのおけいちゃんも、粋と富貴をとりまぜた装で私などのわきは、すーと通りすぎてゆく心になって今日を生きているのでもあるだろうか。 女学校時代の友達というものも、おけいちゃんとはちがう形ではあ・・・ 宮本百合子 「なつかしい仲間」
・・・富豪の思いものとなったのが本当なら、もしや、あのおけいちゃんも、粋と富貴をとりまぜた装で私などのわきは、すーと通りすぎてゆく心になって今日を生きているのでもあるだろうか。 女学校時代の友達というものも、おけいちゃんとはちがう形ではあ・・・ 宮本百合子 「なつかしい仲間」
・・・小林ひさえ、「蕗のとう」「あらし」山代巴、「遺族」「別離の賦」「娘の恋」竹本員子、「流れ」宮原栄、「死なない蛸」「朝鮮ヤキ」譲原昌子。その社会的基盤のひろさ、多様さにふさわしく、これらの婦人たちは人民の文学としての発言の可能を示しはじめてい・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・だが人間の何か忘られない姿というようなものははたして富貴の輝きに照らされている時ばかりにあるものであろうか。 枕草子の中にこんな場面がある。 ある朝早く、帝と中宮とが並んで身分の軽い者たちが門を出入りしたりしている朝の景色を眺めてい・・・ 宮本百合子 「山の彼方は」
・・・ 夏目漱石が、その恋愛や行動において積極的自発的、不羈な女を描くとき、それは「夢十夜」などのようなヨーロッパを背景とするロマンティックな空想の世界であったというのは、何と興味ある事実であろう。また、「虞美人草」「三四郎」などの中に、いわ・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
出典:青空文庫