・・・三日に揚げずに来るのに毎次でも下宿の不味いものでもあるまいと、何処かへ食べに行かないかと誘うと、鳥は浜町の筑紫でなけりゃア喰えんの、天麩羅は横山町の丸新でなけりゃア駄目だのと、ツイ近所で間に合わすという事が出来なかった。家の惣菜なら不味くて・・・ 内田魯庵 「斎藤緑雨」
・・・丁度そこで与良町の方からやって来る子安に逢った。毎時言い合せたように皆なの落合うところだ。高瀬は子安を待合せて、一諸に塾の方へ歩いた。 線路側の柵について先へ歩いて行く広岡学士の後姿も見えた。「広岡先生が行くナ」と高瀬が言った。・・・ 島崎藤村 「岩石の間」
・・・それには日本の沿岸の数箇所の測候所における毎日毎時の風の観測の結果を統計的に調べて、各地における風の日変化の特徴を検査してみたのである。その結果を綜合してみると、それらの各地の風は大体二つの因子の組合せによって成り立っていると見ることが出来・・・ 寺田寅彦 「夕凪と夕風」
出典:青空文庫