・・・ブルウル氏は、それからも生徒へつぎつぎとよい課題を試みた。Fact and Truth. The Ainu. A Walk in the Hills in Spring. Are We of Today Really Civilised? ・・・ 太宰治 「猿面冠者」
・・・「ダンテ、――ボオドレエル、――私。その線がふとい鋼鉄の直線のように思われた。その他は誰もない。」「死して、なおすすむ。」「長生をするために生きて居る。」「蹉跌の美。」「Fact だけを言う。私が夜に戸外を歩きまわると、からだにわるいのが痛・・・ 太宰治 「めくら草紙」
・・・here is scarcely anything in this world which is entirely free form the influence of meteorological factors. He has also・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・ 女性がとかく陥り易い空疎な主義や殉情的な甘さから脱して、人生をその儘 matter of fact として描いて行こうとする態度である。これ等三様の態度を反省して見て思う事は、先ず第一、各の傾向に intentional な選択が行わ・・・ 宮本百合子 「概念と心其もの」
・・・ Kのあの冷淡な、実業家的の Matter of Fact の心持。 TさんがKを愛して居るのに、この愛が素直に受け入れられず、その境遇を代えたいのに代える実力も同情者もなく、子供にしばられて、運命にすてばちになって居る心持。 ・・・ 宮本百合子 「一九二三年夏」
・・・理解はあるが、地につき Matter of Fact な、自分の生活を支配されない人が、動揺し、まどい、当を求める者にたよられる。 赤江米子氏/母の或部分思いがけずとまって気の毒だったこと――自分はこの頃、女中とだけ居る淋しさつまらなさ・・・ 宮本百合子 「一九二三年冬」
出典:青空文庫