・・・ a desire that she may be my “better half” and mine only.” 二十六日 夜、セミナー、雨降り、午後和田と ten sen store で baby duck を買い、東京から来た・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・ 華やかな衣の中で、長閑らしく、首を動かしたり、咲いた許りの花の様な手を、何か欲しげに袖から出して振って居る様子は、その体があんまり肥えて居るから、あんまり可愛い顔だから、ベビーと云う発音に如何にもつり合って居る。「赤坊」と云う音よ・・・ 宮本百合子 「暁光」
・・・日曜日ごとにゴルフとまでは行かないプチブルらしくベビー・ゴルフというものへ、半ズボンはいて行くO氏のお伴をしなければ、不和を生じるという場合、どうしてK子はO氏との恋愛をよろこび、共に発育して行く人間らしい楽しみを感じることが出来ましょう。・・・ 宮本百合子 「ゴルフ・パンツははいていまい」
・・・小さいベビー・オルガンが一台うちにあって、茶色絹のバラの花簪をさした若い母がそれを鳴らし、声はりあげて「ウラルの彼方、風荒れて」と歌った。軍艦のついたエハガキに、母がよく細かい字をぎっしり書いてイギリスの父へやっていた。正月で、自分はチリメ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ からりとした男児運動場のところへ、ベビー・オルガンをもち出して、六年女児は体操の時間にカドリールとコチロンを習った。タータタタと空に響くオルガンのメロディーにつれて、えび茶や紫紺の袴をつけた六十人ほどの少女が、向い会って、いっせいにヨ・・・ 宮本百合子 「藤棚」
出典:青空文庫