・・・ またこんどの大戦前に堀口大学氏の訳で出版されたマルグリット・オードウの「孤児マリー」という独特な小説があった。この小説の作家、マルグリットはパリのつつましい一人の裁縫師であった。裁縫工場に勤めて働いている裁縫女工ではなくて、個人から小・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・灰色と薄桃色と黒との諧調で独特に粋な感覚の世界をつくったマリー・ローランサン。しかし、ケーテ・コルヴィッツの存在はドイツの誇りであるばかりでなく、その生涯と労作とは、決してただ画才の豊かであった一人の婦人画家としての物語に尽しきれない。ケー・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・ マリイ・オオドゥウは、生活に対して身にしみた感覚の健全さをもっている婦人作家の一人であるが、「孤児マリー」では、ややいくらかマリーの性格の内面的発達のモメントとして孤児院の苦しい生活を描いている。特に、最後の死の床で尼さんが、尼になん・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
出典:青空文庫