・・・その顎のまわりに父はペンをとって細い一連の鎖とロケットとを描き、ロケットの心臓型の表には、はっきり小さくYと刻まれている。母の名は葭江である。 書簡註。若い娘が三つのリンゴを掌の上に舞わして遊んでいる。イギリスの子供の・・・ 宮本百合子 「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」
・・・ 執筆一月。一連の非プロレタリア的作品。八月。「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」小説「小祝の一家」一九三四年一月。中旬に麹町署に検挙されている宮本顕治の奪還計画というものが新聞に公表された。二三日たっ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・を凌ぐリアリスト芸術家とされていることは、一連の人々にとって、さながら彼等自身が、今日このように自明な歴史的段階を否定し無視し、文学から階級性を追放しようと欲する心持までを、エンゲルスの卓見によって庇護され得るかのような幻想を抱かせたのであ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・文学作品として、そして通俗性にもひろがった作品として、石坂氏の今日の一連りの作品の先駆的なものとなった。当時はまだ文学の領野で、芸術作品と通俗作品との区別が作家の感覚のうちに保たれていて、さまざまの苦悩は芸術としての作品を生もうとする意図の・・・ 宮本百合子 「文学と地方性」
・・・をふくむ一連の作品が闘争の階級的武器として一定の役割を果すことを信じています。 国際帝国主義によって反ソデマがますます活溌にまかれるとき、題材は第二次大戦前にとられているにしろ、ソヴェト同盟そのものに対する信頼をひろめ、そのことによって・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・1、2、と読み進むにつれ、映画のクローズ・アップのように一連の文句が目の前に浮び上った。労農大衆党の黄色い卑屈なスローガン「戦線拡大反対」という文句だ。 作者が大いに視察記録しようと出かけた意気込みは、ほのかに分る。が、いざ実際、組織強・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・下田に降りつげんげん田もとめて行けば幾筋も引く水ありて流に映るおほどかに日のてりかげるげんげん田花をつむにもあらず女児らさきだつは姉か蓮華の田に降りてか行きかく行く十歳下三人という一連の歌などは、ほとんど強い酒のように、・・・ 和辻哲郎 「歌集『涌井』を読む」
出典:青空文庫