・・・ 私はこの夏、『中央公論』で森山啓氏の「プロレタリア文学の現段階」という論文を読んだとき、過去のプロレタリア文学運動に対する同氏の評価に私自身の理解と相異したものがあるのを感じたことがあったが、今日「囚われた大地」を通読して、同じ論・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
『中央公論』の新年号に、アンドレ・ジイドのソヴェト旅行記がのっている。未完結のものであるが、あの一文に注目をひかれ、読後、様々の感想を覚えた読者は恐らく私一人にとどまらなかったであろうと思う。 間もなく、去る一月六日から・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・これが大正五年の『中央公論』で、引つづいてぽつぽつ外国へ行くまでに六つ位発表したと思います。どれもなかり枚数の多いもので、殆んど『中央公論』が主でしたが、中には『東京日日新聞』に載せた「三郎爺」などというのもありました。「三郎爺」は軽い・・・ 宮本百合子 「十年の思い出」
・・・というので大正五年に『中央公論』に発表された。 福島の田舎におばあさんが独りで暮していた。小学校の一年ぐらいから夏休みになると、海老茶の袴をはいて、その頃は一つ駅でも五分も十分も停る三等列車にのって、窓枠でハンカチに包んだ氷をかいてはし・・・ 宮本百合子 「「処女作」より前の処女作」
・・・ 六月号の『中央公論』にのっている岩上順一氏の「運命の構造」という論文も今日の文学の上に現れている生態的傾向についての考察をのべている。文学に人間の人間らしいいきさつをとり戻さなければならないということは新な重要さで考えられなければなら・・・ 宮本百合子 「生態の流行」
・・・を『中央公論』に連載中の島崎藤村はもちろん、永井荷風、徳田秋声、近松秋江、上司小剣、宮地嘉六などの諸氏が、ジャーナリズムの上に返り咲いたことである。 このことは、ブルジョア文学の動きの上に微妙な影響を与えたばかりでなく「ナルプ」解散後の・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 去年の十月、Aが、中央公論に、オムマ・ハヤムの訳詩、並に伝を載せて、貰った金の一部で、三本の槇、一本の沈丁花、二本可なり大きい檜葉とを買った。二本の槇は、格子の左右に植え、檜葉は、六畳の縁先に、沈丁、他の一本の槇などは、庭に風情を添え・・・ 宮本百合子 「小さき家の生活」
・・・何しろ十八や九の小娘が小説を書き出し中央公論に発表されたと云っても、謂わば芸術家としてそれはまだ海のものとも山のものともつかず、前途は茫漠としている。先生は、人生の練達者であられたから、恐らく様々な複雑困難な、日本の社会では特に女にとって面・・・ 宮本百合子 「坪内先生について」
・・・ 三『中央公論』四月号には、同志小林の長篇小説「転換時代」が言語に絶する伏字、削除をもって発表されている。きくところによると、この題は『中央公論』編輯者によって変えられたもので本来は「党生活者」という題であ・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・『中央公論』で公にしたのがそれである。 森鴎外 「高瀬舟縁起」
出典:青空文庫