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・・・細川家の九曜の星と、板倉家の九曜の巴と衣類の紋所が似ているために、修理は、佐渡守を刺そうとして、誤って越中守を害したのである。以前、毛利主水正を、水野隼人正が斬ったのも、やはりこの人違いであった。殊に、手水所のような、うす暗い所では、こう云・・・
芥川竜之介
「忠義」
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・・・脇差は一尺八寸、直焼無銘、横鑢、銀の九曜の三並びの目貫、赤銅縁、金拵えである。目貫の穴は二つあって、一つは鉛で填めてあった。忠利はこの脇差を秘蔵していたので、数馬にやってからも、登城のときなどには、「数馬あの脇差を貸せ」と言って、借りて差し・・・
森鴎外
「阿部一族」