・・・弱い日本の資本主義がどんな危険な冒険に着手したかということを人民から覆うために国際的経済政治統計はもちろん、文化の国際的な交流さえ禁じた。左右にめかくしをかけられた人民は、戦争遂行という前方の外を見ようにも見られない状態におかれた。はじめは・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・けれども、子供はもってよいというひとが、どうして、その前の、男女の結合の形態を、社会常識の上でもっと広やかで自然な、人間的な、相互交流の形に高めようとする情熱を感じないのであろう。その情熱ぬきに、子供の側から見れば、それが多くの場合歴史的な・・・ 宮本百合子 「未開の花」
・・・生きて、交流して、たがいに響き合うなにかが欠けていた。これは議事の進めかたとも関係があっただろう。しかしながら、やっぱり感銘としてはそのものたりなさが深くのこった。徳永直が折にふれてよくいう文学的なぬくもりの不足という言葉も思い浮んだ。・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・フランスとドイツとの伝統的な恨みというようなものは、芸術が交流して来たあとを見ても事実としては存在しないこと、その言葉は大衆の祖国愛を利己的に利用しようとする戦争煽動者の口ぐせにすぎないということを、フランスの若い世代はよく理解している。そ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫