・・・ ツルゲーネフが二十を越したばかりのロシアの富裕な貴公子で、天性優美と不決断とを持った西欧主義者として当時ペテルブルグの華やかな社交界に余暇の多い日々を送っていたればこそ、舞台以外のヴィアルドオ夫人と親しくする機会をもち、彼とは対蹠的で・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ この頃、あちらこちらといろいろなグループをこしらえて、働く余暇に体育をやったり稽古や勉強をすることがはじまってきている。これは一つの流行であるかもしれないが、やはり働く女のひとの生活をゆたかにする機会としてよろこんでいいのだと思う。地・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・一つの例をとって、ここに働いている娘さんが、余暇に自分のゆたかさのためにアテネ・フランセに通って勉強していたとする。人類の文化の精華にふれてゆけるという或る憧れやロマンティックなもので、フランス語を学んでいたら、今度パリがおちたらフランスは・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
出典:青空文庫