・・・ 外国支部の指導において国際局は、プロレタリア作家乃至その団体の右傾的偏向に対しても、左傾的偏向に対してもいわゆる二つの戦線において決死的な闘争を行った。この事は独逸支部のような威力ある支部の仕事においてすら、多くの過誤から免れしめるこ・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・一九三二年の後半期から三三年にかけて日本のプロレタリア文化運動が著しく政治的偏向をもったということが今でも一つの先入観になっており或は偏見となっている。そしてこれがプロレタリア文学運動誹謗の種子とされているけれども、この日本風な現象につ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・プロレタリア文学を理解したと思っていたその理解がただしいものでないことこそ筆者をして「偏向に対して」という一項を書かしめているのである。「第二の自己批判」のところで、林の日本のブルジョア文学の発達に関する意見がとりあげられている。「日本・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・の右翼民主主義偏向はごまかしきれなくなって来た。プロレタリアと農民大衆の力に押されて「文戦」の内部に、イデオロギー的対立が起ったのは当然であった。 ところが、「文戦」はこれまで、親分子分風な封建的内部組織でやって来ている。つまり、親分=・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・家康自身はかならずしも時代に逆行するつもりはなかったかもしれないが、彼の用いた羅山は明らかに保守的反動的な偏向によって日本人の自由な思索活動を妨げたのである。それが鎖国政策と時を同じくして起こったのであるから、日本人の思索活動にとっては、不・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫