・・・厳々、嚼足、毀蹄、一高坂也、是以馬憂これをもってうまかいたいをうれう、人痛嶮艱、王勃所謂、関山難踰者、方是乎可信依、土人称破鐙坂、破鐙坂東有一堂、中置二女影、身着戎衣服、頭戴烏帽子、右方執弓矢、左方撫刀剣――とありとか。 この女像にして・・・ 泉鏡花 「一景話題」
・・・○正一が千葉から戻ってえの、○○がつれて鳥取へ行きよった刀剣をもって。かえりに梨買うて来ちょります。○砂糖を何匁配給になった○油をどの位○ハイヤーにええとつんで行きよった、大きいのやこまいのを、はア二十本以上もあった・・・ 宮本百合子 「無題(十二)」
・・・との相違は某若輩ながら心得居る、泰勝院殿の御代に、蒲生殿申され候は、細川家には結構なる御道具あまた有之由なれば拝見に罷出ずべしとの事なり、さて約束せられし当日に相成り、蒲生殿参られ候に、泰勝院殿は甲冑刀剣弓鎗の類を陳ねて御見せなされ、蒲生殿・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
・・・との相違は某若輩ながら心得居る、泰勝院殿の御代に、蒲生殿申され候は、細川家には結構なる御道具あまた有之由なれば拝見に罷いずべしとの事なり、さて約束せられし当日に相成り、蒲生殿参られ候に、泰勝院殿は甲冑刀剣弓鎗の類を陳ねて御見せなされ、蒲生殿・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
・・・毎日同じ時刻に刀剣に打粉を打って拭く。体を極めて木刀を揮る。婆あさんは例のまま事の真似をして、その隙には爺いさんの傍に来て団扇であおぐ。もう時候がそろそろ暑くなる頃だからである。婆あさんが暫くあおぐうちに、爺いさんは読みさした本を置いて話を・・・ 森鴎外 「じいさんばあさん」
出典:青空文庫