・・・戦争中は人間らしいたのしささえ奪われて育った人たちは自由になったということ、民法で親の権利が削減されたということ、男も女も平等だわ、という考えを最も手近いところで表現しようとしているところがある。煙草をのむこと、お酒をのむこと、そとでどんな・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立候補者の大部分は「政治と台所の直結」といい「女の問題は女で」といい・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・の戦後派の先輩たちがジャーナリズムの上にうけた不利――すなわち、社会的文学的発言の範囲の縮小の本質は、とりもなおさず、理性に立つ現実探求の精神の主張、国の内外のファシズムと戦争挑発に対する抗議と抵抗の削減であった。 この方法が成功したこ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・紙のないこと、割当が商業主義、事大主義に支配されている上に、この頃は民主的出版物への割当削減があらわれていること。相も変らず紙屑のようなエログロ出版が横行していること、文学者に対する税がお話にならない高率で、殆ど収入の八五パーセントもとられ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ これを、資本主義経済の行きづまりで、予算削減。削減。小学校教師の月給さえ満足には払えなくなって来ている日本の有様と比べて見ろ。 ブルジョア都市東京は人口二百二十一万八千余だ。婦人勤労者は、ごく狭い範囲の例外をのぞいて実際の苦痛から・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
出典:青空文庫