・・・提案者の意企は、どういうところにあったか知らないけれども、今日の日本の現実と向い合ってこのテーマが出て来るからには、まさか、婦人の参政権に伴って、婦人の日常性の中で、公的生活と、私的生活とは、どう調和するか、或は、どう調和させて行くべきかと・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
法制会が、婦人参政権の問題を否決したのは、さまで意外なことではありません。何にしろ日本は、やっと普通選挙が実現されるかされないかと云う、社会進化の途上にあります。 英国でさえ、殆ど百年に近い時日を費したこの問題が、そう・・・ 宮本百合子 「参政取のけは当然」
・・・喧しい婦人参政権の要求も、若し其が、単に男性が所有して居るのに、同じ人類である女性が賦与されないのは不公平だと云うその一点をのみ原因として要求するのならば、其は余り浅薄でございます。余り反動的動機でございます。其権利を獲得した事に依って、政・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・しかし、基本的に科学そのものが一定段階まで進歩していたこと、当時フランスで婦人の参政権は与えられていなかったけれども、大革命を経たフランスの理性的な人々の心には、婦人の能力に対する偏見が少いという条件がありました。ピエール・キュリーが真に天・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・によると、イギリスでは一八六九年に女子に公民権を認められ一九一八年の人民代表法で三十歳以上の婦人に参政権を与えた。それによって約六百万人の婦人が選挙権をもつこととなった。ノルウェイの婦人は、一番早く一九一三年完全な参政権を得ている。ドイツが・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・ ――………… ――あの――日本に……日本では女が参政権を持ってるんでしょうか? 二重に重なった頭の奥からのびあがって第一に質問したのは、白ブラウズを着た髪の赤い女だ。 日本女は、持ってないと返事した。日本では全国労働者総数・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・この二月の総選挙のとき、ある種の婦人たちは、参政権よりは、やすい薯の方がありがたい、と言葉に出していった。目の前の欲しさを強調した。そのために、すべての保守的な政党の立候補者たちは、食糧だけは引きうけると公約した。婦人立候補者たちは、あれほ・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・このことは、婦人運動史がよく示しているし、婦人参政権運動史が、あからさまに語っている。婦人が、一般論として男子と差別のない参政権を求めたとき、イギリスの婦人たちに参政権を与えたのは、保守党であった。日本で一九四六年、婦人参政権を与えたのも保・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・生産単位として女が全く男と同じ地位にいるという点で、その余のいろいろなものが、変って来るのは当然のことで、ただ他の国の婦人参政権、あれとソヴェトの女の獲得している自由とは根本的に性質が違う。だから恋愛の自由とか、家庭における女の地位の拡大、・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・ 婦人参政に関しても、道義というものは当然あるわけだ。それがすたれ、或は穢されるということのあり得る事実も明白である。 進歩党は、過般、築地の待合金田中へ、数人のお歴々女史を招待した。そして、参集した何人かの女史に、党内の重要な椅子・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
出典:青空文庫