・・・ジョバンニの同級の子供らだったのです。ジョバンニは思わずどきっとして戻ろうとしましたが、思い直して、一そう勢よくそっちへ歩いて行きました。「川へ行くの。」ジョバンニが云おうとして、少しのどがつまったように思ったとき、「ジョバンニ、ら・・・ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
・・・そして、そういう思いは、わたしと同級生であった誰彼のひとたちが、もしその雑誌をよむとしたら、やっぱり同じように感じる思いではなかろうかと思う。なぜなら、随分久しい間、わたしは、自分が少女時代の五年間を暮した学校と縁がきれていた。ざっと十年以・・・ 宮本百合子 「歳月」
・・・ 東洋大学で同級であった男と同棲、子供、震災、京都の日活の用で、男京都に居るうち、友達にだまされて無一文、やどで、ひどいあつかい。 製畳機を作る店の月報を出すことを、宿やの主人とその家の主とできめ、月給二人の細君連で相談して四十五円・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・ 差出人は、同級会幹事の誰それとしてあり、宛名は、まぎれもない自分だ。けれども、内容がはっきり心に写らない。文句は、深田様がお産で去月何日死去されましたから、御悔みのしるしに何か皆で買ってあげたい、一円以上三円位まで御送り下さい、という・・・ 宮本百合子 「追想」
・・・私と同級の一人の友達は、いつの間にか、それと寸分違わないもう一つの水色襷を作った。そして、何気なく体操や何かの時、ふっさり結んで肩につける。 ところが或る日、担任の先生から、「近頃、誰の真似だか知らないが、いやに幅の広い襷をかけたり・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・山沼に会ったのは古くて、ひろ子の友達の長男と同級のよしみで、落ちあったのが縁であった。こういう青年も、今はこの場所に来ている。しかも、受付にかたまって、若い人々の中にいたときの空気でみれば、山沼はおそらく、ひろ子などよりはるかにここに近く暮・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・関係から云っても、同級であった桃子の兄嫁のところへ、ただ洋裁の仕事先として多喜子は来ているのであった。 仮縫いの方を着て尚子が立っている背中の皺にピンをしているところへ、襖の外から、「いい?」 声をかけて、桃子が入って来た。・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
出典:青空文庫