・・・自主的に米を供出している村の人たちで営団にその米を渡さず、何とか直接消費者にわたす方法はないかと頭を砕いているところもあった。これらの人々は自分たちの労力と親切との結果が中途で妙なことになるのを見抜いていやがっているのである。 農林大臣・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・その道の専門家が揃って、人民管理をよしとするからには、疑いもなく農会、営団、その他の機構に、満足されない何かが存在しているからである。どんな長閑なこころも、日本の現実の中で「横流し」という術語を知らないものはなくなっているのである。 新・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・モラトリアム発表前の十六日、正金銀行で、課長以上の行員たちが殆ど全部現金を五円札に代え、前交易営団総務課長は、二十万円の金を五円札で引き出したという事実である。おそらく、現にその手で事務を取らざるを得なかった同じ銀行の者が、その投書をかいて・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
出典:青空文庫