・・・ ロストフ市の郊外に新しくプロレタリア文化の壮麗な城のような「セルマシストロイ」の大工場都市がある。これは純然たる社会主義都市計画によってつくられた町だ。 明るい、電化された大工場を中心に共同食堂がある。消費組合売店ではラシャの布地・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
我々のように、二人とも机に向って仕事をする者は、若し理想を実現し得るなら、先ず静かなよい書斎を持ちたいのが希望です。 何も、壮麗でなく、材料が素晴らしいのではなくてよいから、各自の性格と、仕事の種類とに適応した勉強部屋・・・ 宮本百合子 「書斎を中心にした家」
・・・ 冬宮を占領したボルシェヴィキーは、密集した列をつくって壮麗な広間へと通り抜けた。歴史的瞬間であった。誰かが手をのばして広間に飾ってある置時計を盗んだ。すぐ続いて次の手、次の手、たちまち熱く叫ぶ声が前方からおちて来た。 ――タワーリ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・あの壮麗らしく人工の結晶を積みあげた街をつぶして呉れよう。斯う三叉でくじって、先ず屋体に罅を入らせる。一ふきふいごで火をかける。――どうだ。美事な、自然らしい悪意には、我ながら感服の外はない。ミーダ 愉しめ! 愉しめ! 押しこめに会って・・・ 宮本百合子 「対話」
・・・然し、壮麗な一種の歴史の錆をとどめている「奈良」だけは、この我儘な私を充分満足させて呉れました。 都の焦々した空気の中にあった私を、ほんとに、ゆったりと落ちつかせて呉れた「奈良」の天地、そこには、北国に於て見るあの寂寥の影が何処にも見出・・・ 宮本百合子 「「奈良」に遊びて」
・・・ わたしは今、この時刻に、モスクワの全市を赤旗と音楽と飛行機の分列式とでおおいながら、壮麗極まるデモで行進しているソヴェトの労働者の有様を思い、ゲンコを握って、このひどい反動的空気をなぐりつけたい気になった。 実にひどい違いだ。・・・ 宮本百合子 「ワルシャワのメーデー」
出典:青空文庫