・・・それにはこの鳥の飛行する地上の高さを種々の場合に実測し、また同時に啼音のテンポを実測するのが近道であろう。鳥の大きさが仮定できれば単に仰角と鳥の身長の視角を測るだけで高さがわかるし、ストップ・ウォッチ一つあればだいたいのテンポはわかる。熱心・・・ 寺田寅彦 「疑問と空想」
・・・しかるに実用上の問題は如何なる程度までこれらの要素を実測し得るかという事なり。測候所の数には限りあり、観測の範囲、回数にも限定あり。特に高層観測のごとき一層この限定を受くる事甚だし。それにもかかわらず現に天気予報がその科学的価値を認められ、・・・ 寺田寅彦 「自然現象の予報」
・・・そうしてまた、加速度の数値を五けた六けたまでも詳しく云為する場合には、実測加速度から規準加速度を導出するためにいろいろさまざまの「補正」を要するのである。 これと同じように、新聞記事のうそも一種の「補正」と見れば見られないこともないよう・・・ 寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
・・・等高線の屈曲配布にはおのずからな方則があっていいかげんなものと正直に実測によったものとは自然に見分けができるのである。 その時に痛切に感じたことは日本の陸地測量部で地形図製作に従事している人たちのまじめで忠実で物をごまかさない頼もしい精・・・ 寺田寅彦 「地図をながめて」
出典:青空文庫