・・・ この小説は、革命的伝統をもった北海道の労働者街の人々が、再び「戦争と革命の時期」である今日、抑圧から立ち直ってプロレタリアートの組織をつくることを書いたものである。 宮島新三郎というブルジョア文学の批評家は、この「地区の人々」を批・・・ 宮本百合子 「同志小林多喜二の業績」
・・・ 宮島新三郎板垣鷹穂などは、同志小林の殉難を惜しみつつ、同志小林がその活動を文学的活動の範囲に止めておかなかったことを遺憾とし、または、今度のことにつけても作家同盟はよく考えて欲しいと云っている。彼等は、ボルシェヴィク作家としての同志小・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・ その時の秋、宮島幹之助氏がジェネへの途中モスクへよられた。宮島氏と父とは同郷であり、親しかったので、私は自分の下宿へ、この国際連盟委員を招待し、アルコールランプで、鶏のすきやきをこしらえ、馬車に並んでのって、モスク市中見物のお伴をした・・・ 宮本百合子 「時計」
・・・そのきょう、私たちが、手紙に貼る切手の模様は何だろう。宮島の海の中の鳥居がかかれている。妙義山がある。観光日本のポスターがちぢめられて出て来ている。その上、七銭と二銭の切手とは昔のままの東郷・乃木で、国際裁判をからかっているように見える。私・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
・・・そこを三日捜して、舟で安芸国宮島へ渡った。広島に八日いて、備後国に入り、尾の道、鞆に十七日、福山に二日いた。それから備前国岡山を経て、九郎右衛門の見舞旁姫路に立ち寄った。 宇平、文吉が姫路の稲田屋で九郎右衛門と再会したのは、天保六年乙未・・・ 森鴎外 「護持院原の敵討」
出典:青空文庫