・・・ 戦争強行が進むにつれ、反動文学者たちはしだいに軍人や役人めいた身構えをとって、大規模に文学者を動員し、さまざまの形で軍事目的に使った。ともに従順でないもの、戦争の本質に洞察をもつ者、文学を文学として護ろうとする者を沈黙させ、投獄した。・・・ 宮本百合子 「歌声よ、おこれ」
・・・にさえならぬ図々しい屁理屈をこねている日本帝国主義の三百代言松岡洋右の提灯もちなどとともに、大衆を犠牲として恐慌を切りぬけようとする支配階級帝国主義戦争強行のチンドン屋の役を相つとめている。「物価暴騰時代。損をしない心得」この記事をよん・・・ 宮本百合子 「『キング』で得をするのは誰か」
・・・ この簡単な数字は野蛮な戦争を強行した日本の封建的・軍事的権力によって、日本の人民生活がどんなにその根本から破滅させられたかを示すものです。 ナチス政権の下においてドイツ人民が苦しんだとおり、ファシスト・イタリーでイタリー人民が苦しんだ・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・日配の解体、再編成は、集中排除法という経済面から強行されて、三ヵ月以上にわたった出版界の経済封鎖の過程では、大出版企業者をのぞく、すべての出版事業がいちじるしい危機にさらされた。こんにち揺がない大出版企業の代表者たちが、文化上どのような性質・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・こんにちの状況に、最近三年の間強行されつづけて来た言論圧迫の影響と結果を見ようとされていない。ゆうべNHKの街頭録音は、「政党は選挙公約の実現に努力したか」という題目であった。「はい、そこにいらっしゃるお若い方」と指されて答えた人は自由党支・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・十数年にわたった過去の戦争の年々、人間性をさかむけにする破壊的な戦争強行の現実のなかで、一年一年死の予想を前にして成長しつつあった青年たちは、その中で絶望を支え、人間として生きる精神の拠りどころを何に求めただろう。 日本の治安維持法の非・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・闇の親分といい、犯罪的行為といい、それは非道な戦争の強行と、その後の社会生活の破綻が、根本の原因です。人口の大部分を占めている勤労者の生活の不安が解決されないまま、その結果にあらわれた誰の目にも悪いものを掃除したとしても、根本矛盾がそのまま・・・ 宮本百合子 「社会と人間の成長」
・・・この事件も、下山氏の死にからんで強行されようとした何かの政界の失敗であり、この失敗そのものが、逆に下山氏の死の微妙ないきさつについて、暗示するところもあるかのようである。 七月十二日の新聞をみると国鉄は十三日から第二次整理六万五千人を行・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
・・・その証明として、今度の第二次世界大戦に参加した日本の非道な軍事強行が進むにつれ、他ならぬこの純芸術性の擁護者であった中村武羅夫が先頭の一人となって、急速に、徹底的に日本の旧文学を、軍事暴力の政治抑圧に屈伏させた。そして文学の真に芸術としての・・・ 宮本百合子 「生活においての統一」
・・・ 日本のファシズムが露骨に言論統制をはじめ、文化抑制を強行し、文学者の存在権は文学上の業績ではなくて軍御用の程度によって保障されるようになって行ったとき、ファシストでない大多数の人々は、もちろんその軍部の乱暴を感じていた。無知、野蛮な専・・・ 宮本百合子 「世紀の「分別」」
出典:青空文庫