・・・明らかに狐を使った者は、応永二十七年九月足利将軍義持の医師の高天という者父子三人、将軍に狐を付けたこと露顕して、同十月讃岐国に流されたのが、年代記にまで出ている。やはり祇尼法であったろうことは思遣られるが、他の者に祈られて狐が二匹室町御所か・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・山名氏清が泉州守護職となり、泉府と称して此処に拠った後、応永の頃には大内義弘が幕府から此地を賜わった。大内は西国の大大名で有った上、四国中国九州諸方から京洛への要衝の地であったから、政治上交通上経済上に大発達を遂げて愈々殷賑を加えた。大内は・・・ 幸田露伴 「雪たたき」
・・・ 室町時代の中心は、応永永享のころであるが、それについて、連歌師心敬は、『ひとり言』の中でおもしろいことを言っている。元来この書は、心敬が応仁の乱を避けて武蔵野にやって来て、品川あたりに住んでいて、応仁二年に書いたものであるが、その書の・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫