・・・同時に浦和充子の事件その他たくさんの社会問題的な事件の本当に基本的人権を重んじた解決の方法というものは、その原因の一つとなる社会事情改善のための社会的行動そのものについて、基本的人権の擁護が実行されなければならないという点をおとすことができ・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・加盟団体あわせて一千万人の組織員をもつ民主主義擁護同盟は、組織の大きさだけの活力を発揮しにくい事情におかれていたが、それでも各地におこっている人権蹂躙の問題に具体的に働いた。 同氏が、「平和を守る会」に参加しないことや「知識人の会」に関・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・富農の勢力拡大と階級擁護のために、そのような名をかぶった一味がトラクターを富農の手に騙しとり、集団化を阻害しようとした。彼等がスローガンとした「工業化」の上へはもう一つ書かれぬ言葉、「反革命的」という文句があったのである。 ところで「パ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・の確立の主張の上に絵どる段階から成長して来て、日本の社会現実のうちで自我を存在させ発展させるそのことのためにも、日本ではすべての市民に共通な基本的な人権の擁護が必要であることが把握されはじめた。世界ファシズムと戦争挑発に対する抵抗を組織する・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・СССРでは女性が市民、勤労者としての権利に於て男性と全く対等である上に、プラス、母として性の擁護を法律によって完全に与えられている。 窓外はまだ零下十五度の厳寒である。凍った雪あかりが室内の白い壁にチラチラしている。 窓枠が少・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 日本文化を守る会が結成されたこと、このように広汎な全日本にわたって男女学生の自主的文化学問への要求が表明されていること、また各方面に日本の軍国主義とファシズムの再燃にたいしてたたかい、平和の擁護のために働こうとする人々のグループが結成・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・反ファシズム団体が政治的に結合したばかりでなく、文化を擁護するためにフランスの思想家、作家が反ファシスト行動委員会を組織した。この委員長はパリの自然博物館長であった。この委員会は学界の代表者を包括して八千名を超した。 これまで社会問題を・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・けれども、社会悪は金銭的形態利害擁護の姿でだけ素朴にあらわれるものではないのである。忌憚なく云えば、石原氏がナチとソ連の科学政策をその現実の本質につき入って比較する力を欠いておられる事実なども、社会悪が最も複雑微妙な作用としてあらわれて来て・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・然しながら、妻が、泥酔した夫や花柳病にかかっている夫との性的交渉を拒絶すべき母として当然の権利を、擁護してはいないのである。性別は染色体の問題であることを私達は知っている。染色体はそれを包蔵する細胞の健康状態と勿論結びついた関係にある。互に・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・その実際は、六・三制の混乱と、最近全国の専門・大学男女学生が教育防衛復興闘争の一環として立ち上りはじめた学問の自由と独立擁護および授業料ねあげ反対の大運動にもあらわれている。 学生のこういう意志表示を学生の本分にもとるという意見がある。・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
出典:青空文庫