・・・、より輝き、より恒久的な真実の「よさ」をも、見出し、或は見出そうと仕て居られるだろう、先生も育たれた。私も育った。 先生は今何処に被居っしゃいますか。 生命の萌芽が、一寸の幹を所有するまでの専念な営み――。人は其前に頭を垂れる心を持・・・ 宮本百合子 「追慕」
・・・それなのに、若い女性たち自身心のどこかに持っている、働くのは一時的だという考えは、それらの社会的弱点に抵抗して自身を成長させて行こうとするまじめな恒久的な実力を、若いひとたちの身につけさせない。そして、若い女性たちは、職業についているという・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・ 婦人の文化上の創造能力の特質は直感的であり、感性的具体的で、その反面としては恒久性の短いこと、主観的であること、客観性や思意の力に欠けていることがこれまでのあらゆる場合に挙げられて来ているのである。そして、婦人というものはそういう風に・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
・・・文学のもっている浸透的で恒久性のある革命的力が理解されてよいと思います。 現在、反動権力と反動文化の新しい攻撃に対してますます広汎な統一戦線が求められているとき小市民的な宗派主義を克服し、同時に「勤労者文学」一般でなく、プロレタリアー・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・私ども正直でつつましい人民すべてが世界の平和を愛し、恒久的な平和を守ろうと決心した場合には、ちょうど私どもがいいことをしたいという時と、やりかたが同じだと思います。いい一つのことをするには悪いことと闘っていかなければならないとおり、平和を守・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・は、恒久な意識の流れを截断した瞬間的断面だと云えるならば、「私」も亦、伝説が、日本の神人を語るより以前からの「日本人」の一断面ではないだろうか。私は今、紐育の町中に居る。私の足の下には靴の皮がある。キルクの床がある。石とコンクリートの下には・・・ 宮本百合子 「無題」
出典:青空文庫