・・・これらの人々の一票は投票箱に落ちる時人生のどんな響きを立てることだろう。ドストイェフスキイは、ロシアの革命運動に参加した理由で死刑を宣告された。銃殺されようとするその瞬間に特使が来て彼は死なずに済んだ。然しこの一つの経験はドストイェフスキイ・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・そして、婦人たちの投票を集め、金もちと地主の集った政党を多数党にした。世界でおどろくほど一時にどっさり婦人代議士を選び出した。 彼女たちは、長い長い会期の間に、何を婦人のために解決しただろうか。女の苦労が集注している孤独な母たり妻たるひ・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・この同じ人々のPTAが、平和投票のすすめには、どのように反応し行動したであろうか。子供たちの将来は、そこに平和な社会というものを考えなければ、なりたたない。軍夫になるかもしれない子供たちの将来を、肯定することのできるただ一人のPTAの親もい・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・勤労婦人が、熱心にソヴェト選挙に参加し、投票もすれば、自分が選挙されたとき全責任をもって働くわけもここにある。 プロレタリアのソヴェト政権を守り、闘って来たからこそ、五ヵ年計画は実現され、失業者というものがソヴェト同盟にだけはなくなった・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・ 五十年後のソヴェト社会では、重大事件がすべてラジオで投票決議されるということになっている。清潔な社会主義社会にとって有毒な官僚主義、俗人趣味のバチルスとしてのプリスィプキンは仮死状態で発見されたがそれをどう処理するか。やっぱり全ССС・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・作品評価の任に当っている懇話会員である作家たちは作品としての価値で、文学の立場から或る作品の優秀性を認めて、実際の投票では最高点を得ているものが、いわゆる左翼に属した作家であるという理由で棄却された実例がある。作家を会員としても、作品の価値・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・ 近頃熾に東京日日新聞で、日本新八景の投票を募っているが、あれなど、どういう眼目で新八景を選出しようというのか。那須も塩原も、十位の外に洩れまいとして滞留客へまで帳面を廻し、ハガキ百枚、二百枚と寄附して貰い、三井さんが一万枚寄附して下す・・・ 宮本百合子 「夏遠き山」
・・・の準備部会のような場所で行われた投票の結果について書いておられた。『改造』『中央公論』などという綜合雑誌の発行所がその雑誌の属する第七部とかには出ていないで中央公論社は、『婦人公論』で第五部に、改造社は『短歌研究』、『俳句研究』で、研究社の・・・ 宮本百合子 「日本文化のために」
・・・それほど大切な投票であるのに、全国で十四万人余の選挙人名簿記載洩れが生じた。新聞は、婦人参政権のために、殆ど一生を費して来た市川房枝女史が、当日わざわざ遠方の投票所へ行ってはじめて記載洩れで投票出来ないことを発見した気の毒な実例を報じた。市・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・けれどもわたしたちは、人民の幸福を守る民主的政治家と政党とを選んでそれに投票します。わたしたちの人民的世論というものがそのように表現されて自然であるということが分っていれば、小説家にならないからといって、階級人としての現実観察とその評価、批・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫