・・・つまり双子星座様は双子星座様のところにレオーノ様はレオーノ様のところに、ちゃんと定まった場所でめいめいのきまった光りようをなさるのがオールスターキャスト、な、ところがありがたいもんでスターになりたいなりたいと云っているおまえたちがそのままそ・・・ 宮沢賢治 「ひのきとひなげし」
・・・「或女」以後、私は、彼の作品が、或行き詰りを持ち始めたことを知った。読んで見ると、精神の充実したフルーエントなところがなく修辞的でありすぎ、いつまでも青年の感傷に沈湎して居るような歯痒さがあった。「星座」にも同じ失敗を認める。大づかみに、ぐ・・・ 宮本百合子 「有島武郎の死によせて」
・・・其の渾沌の裡に只三つ丈光った星座がある。私と、愛弟と或る青年の先生とである。 其時分、先生はもう大人だと思っていた。十二三の自分は、理性と感情との不均斉から絶えず苦しんでいた。恐ろしく孤独だった。世界が地獄のようであった。そして、今年十・・・ 宮本百合子 「追慕」
・・・『文芸』や『星座』が試みはじめたつつましやかな民衆の文化交驩の機会が、どうかまたすみやかに恢復されることを願っている。 女の作品 三篇に現われた異なる思想性 中本たか子氏は数年来、非常・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 彼が生れた日の星座がそうだとでもいうのか、五月蠅いことのためばかりに、彼は弟子の藍子に頭が上らないほど身をつめ、しかも欣々然と我が世の重荷を背負っているではないか。 自ら尾世川の心にも漠然とした感慨が湧いて来たらしく、彼は暫く黙り込ん・・・ 宮本百合子 「帆」
・・・白鳥だの孔雀だのという星座さえそこにはありました。凝っと視ていると、ひとは、自分が穢い婆さんの部屋にいるのか、一つの星となって秋の大空に瞬いているのか、区別のつかない心持になるのでした。 お婆さんを見かけたものはありません。 併し、・・・ 宮本百合子 「ようか月の晩」
・・・私の頭の上にはオライオン星座が、讃歌を唱う天使の群れのようににぎやかに快活にまたたいている。人間を思わせる燈火、物音、その他のものはどこにも見えない。しかしすべてが生きている。静寂の内に充ちわたった愛と力。私は動悸の高まるのを覚えた。私は嬉・・・ 和辻哲郎 「創作の心理について」
出典:青空文庫