・・・一つは娘の自殺によってひびだらけであった家庭生活が崩壊した元の桜内代議士夫人その他があつまってこしらえた「女ばかりの株式会社」であり、他の一つは、理学博士、医学博士というようなひとの夫人の一部によってこしらえられた「断種協会」である。 ・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・ 表面上ファシスト団体が解散を命ぜられたといっても、それはちょうど尾津組その他の暴力団が組という組織を変えて近代的な株式会社になり、ますます一般の目からはみわけにくい形で活動をつづけるのと同じような道をたどっています。そのファシスト団体・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・船舶保険株式会社がある。再び汽船会社だ。 その建物全体がそのまま金庫みたいな外観をもっていた。窓に金色の楯に王冠をかぶった獅子と馬とが前脚をかけた例の皇帝紋章が打ってある「大英宝石商会」である。 続いて堅牢な石の外壁に沿って走り乗合・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫