・・・そして、次第に熱中し、興にのって、講義して行かれる心理学概論を筆記する。 先生の教授ぶりは、熱があり、インテレクチュアルで、真摯なものであった。 黒板に何か書いたチョークを、両手の指先に持ち、眉間に一つ大きな黒子のある、表情の重味あ・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・或る概論の実証とし、また反証としようとする。 平常、自己の結婚生活、恋愛生活に矜持ある希望、信念を持ち得ないでいた者は、わっといってその周囲に馳け集る。おのおの手には帳面を持ち、その行為がよいと批評されれば、人生に於けるあらゆる斯の如き・・・ 宮本百合子 「深く静に各自の路を見出せ」
・・・第二巻法律篇は、婚姻法概論からはじまって、妻の無能力。内縁。国際婚姻法。最後に民法改正要綱解説として、穂積重遠博士が序言及び婚姻を執筆していられる。この民法改正要綱は昭和二年政府が臨時法制審議会を設けて、我々に日常関係ある民法のうち、親族、・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫