・・・梨花淡白柳深青 〔梨花は淡白にして柳は深青柳絮飛時花満城 柳絮の飛ぶ時 花 城に満つ惆悵東欄一樹雪 惆悵す 東欄一樹の雪人生看得幾清明 人生 看るを得るは幾清明ぞ〕 何如璋は明治の儒者文人の間には重・・・ 永井荷風 「十九の秋」
・・・ 宗達の作品もいろいろであろうが、この作品のように清明で、精気こもった動的な美しさは、心から私たちをよろこばすものの一つだと思う。人間の艷、仕事の艷というものについて、宗達は、目から精神にそそぎ込む多くのものをもっているのである。 ・・・ 宮本百合子 「あられ笹」
「見る人のこころごころの秋の月」という文句がある。天にはただ一つしかない秋の月ではあるが、その月を眺めるひとの心のありようによって、清明な快い月であると思われるであろうし、月のさやけさに又かえって恨が深まるようなこともあろう・・・ 宮本百合子 「自然描写における社会性について」
出典:青空文庫