・・・「労働者階級の意識は、たとえそれが如何なる階級に関係したことであろうとも、恣意と圧制、暴力と濫用が行われたときは、いついかなる場合にも黙過しないようにならされているのでなければ、真に政治的な意識ではない」ということは、民主主義とその文学・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・「結論的に私が申しあげたいのはわれわれを被告としたあの検事諸君こそまさに公務員法違反であり、職権乱用の非国民である。私はそう思う。なお弁護人諸君に一言申しあげたい。僕は弁護人諸君はただ単に弁護人だけにとどまらず、本当に日本の民主主義をまもり・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・一方それとは全く反対に、有り余る金はあり、子供の教育に責任を負うに充分な丈の健康と知能とは持ちながら、所謂自由が味えない為、容色が衰えるなどと云う恐怖から、無良心に科学の発達を濫用する者の一群になると思います。 抑々、産児制限などと云う・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・それは獅子文六という方は喜劇を経験したでしょう 〔以下四枚分欠〕 きのうの読売に各地人権擁護委員会に訴えられた人権蹂躙事件の五〇パーセントは警官の職権濫用であった。 きょうの毎日に 去年、五〇パー・・・ 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・それは時と所との色を帯びている古言が濫用せられたからである。 しかしここにいう所は文と事との不調和である。文自体においてはなお調和を保つことが努められている。これに反して仮りに古言を引き離して今体文に用いたらどうであろう。極端な例をいえ・・・ 森鴎外 「空車」
出典:青空文庫