・・・ 年とったひとのためには、ただ若い華やぎとうつる青春の生活の基礎に健全なこういう種類の友だち、仲間、協力者としての異性の関係が成長していることを周囲にわからせようとしている。ところで、本当に人間らしい関係に立って男女が協力し合うというこ・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・七八年前は、「異性の間の友情」とか、「恋愛論」としてしか一般の常識の上にとりあげられなかった両性の社会関係についての考察が、この本の最後に集録されている文章の中では、はっきりと明日の、より幸福の約束された社会をつくるための、男女の新しい社会・・・ 宮本百合子 「あとがき(『幸福について』)」
・・・友情を営む能力というものは現在どのくらい成長して来ているだろうか。友情を異性の間のこととして見た場合どうだろう。 そういうような質問をされたある壮年の作家は、異性間の友情というようなものはあり得ないと答えられたそうである。その答えのされ・・・ 宮本百合子 「異性の間の友情」
斯ういう感情上のことは、各人各様であって、「男子は」「婦人は」と概括的に考えると、至極平凡なつまらないものになってしまいます。此世の何より、金持がいい人もあろう。美貌の異性がよい人もあろう。知識的なのが第一な人もあるでしょ・・・ 宮本百合子 「異性の何処に魅せられるか」
一 異性との間の友情の可能やその美しさなどについてより多くさまざまに思い描くのが常に女性であるということについて、私たちはどう考えたらいいのだろうか。 十五六歳のういういしい情感の上にそのさま・・・ 宮本百合子 「異性の友情」
・・・此は生理的の結果で、人間の内に神が死なない限り、人は只異性と公許の交接によって子供を産む事――その事実のみに幸福を感じて満足するものではないのだ。自分は結婚を肯定する。広い範囲に於て肯定する。単に、爾姦淫せざらん為に許りではない。人間は、よ・・・ 宮本百合子 「黄銅時代の為」
・・・そして、最も自然な、在り得べき想像として、一人の信頼すべき異性が、自分の最も近い朋友と成ったと仮定します。 その場合、その人に対する友情は、自分の語り度い、忘れ得ない愛する者を、倶に愛し、認めてくれる、という点に源泉を持っているのです。・・・ 宮本百合子 「偶感一語」
是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。内外的原因によって過った結婚をし人間としてその異性との生活が、救済の余地無い程の破綻を生じた場合、より以上の不正、人格的堕落を防止する為には、強制的、又相互的離婚を・・・ 宮本百合子 「心ひとつ」
・・・日本のしきたりでは、良人と妻とは七つ八つ年が違うのが普通だから、その年ごろの妻たちは大体四十前位の良人をもっているわけで、男の人たちの社会へ向う心持、事業に向う心持、異性に向う心持は、やはり四十歳ごろ一つの変転を経るのが一般らしい。三十三が・・・ 宮本百合子 「小鈴」
・・・ 女子教育の視察に行く人は多く男性ではありませんでしょうか。 美術や文学の美くしさを探ろうとして来る人々の裡に、幾人の女性が居りますでしょう。 異性が異性を見る場合に、兎角起り勝ちな、又、殆ど総ての場合に附帯して来る、多大の寛容・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
出典:青空文庫