・・・によって「ブルジョア自由主義もしくは個人主義文学の名によって蔑視され勝ちであった西欧文学についての再検討と、自国文学に対する価値的反省」であるとし、「フランスの行動的ヒュマニズムの変革運動は芸術にあっての自由と、その自由なる芸術的表現の主張・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・このことは、明かに自国の文化の評価に対して私たちの負うている一つの負の面である。それとともに自分たちの持っている文化の研究が従来はとかく主観的にそのものを構成している諸要素の内側からだけ語られたと思う。日本の美の一つの要素である省略の趣向は・・・ 宮本百合子 「世代の価値」
・・・セルマ・ラゲルレフは彼女の作品を自国皇室に愛読されている作家である。ルードウィヒ・レンの感動すべき活動もこの会議で報告され、ジイドの「ソヴェト旅行記」の批判ものっている。 スペインが流血の苦難を通じて世界文化・文学の領域の中に新しい自身・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 自国の文化を十分に理解していないものがどうして他国の文化を理解することが出来よう。梶は、そのことの生き証人の如き観がある。梶は、国際列車にもまだ沢山の乗換場所がいる、というような言葉を機械的に暗誦し易いフレーズにまとめて云っているので・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・ 我々、日本の労働者・農民は、アジアにおける最も野蛮な支配体制、自国ブルジョア・地主的天皇制〔一九三二年十二月〕 宮本百合子 「労働者農民の国家とブルジョア地主の国家」
・・・からはじまる王家三代の物語の最後は、アメリカで教育を受けつつ民族的矜持を失うことのなかった中国の青年劉が、中国にかえって自国の現実に幻滅を感じつつ、ついにその中から立ち上って、中国の民衆のうちに潜んでいる力への信頼をもって生きはじめるところ・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
・・・欧州文化の咀嚼においても、また自国文化の自覚においても。浜田耕作氏によると、大阪城大手門入り口の大石の一は横三十五尺七寸高さ十七尺五寸に達し、その他これに伯仲するものが少なくない。かりにこの石の厚さを八尺とし、一立方尺の石の重さ・・・ 和辻哲郎 「城」
出典:青空文庫