・・・ことしの夏、雨といっしょに、硝酸アムモニヤをみなさんの沼ばたけや蔬菜ばたけに降らせますから、肥料を使うかたは、その分を入れて計算してください。分量は百メートル四方につき百二十キログラムです。雨もすこしは降らせます。旱魃の際には、・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・われらは田園の風と光の中からつややかな果実や、青い蔬菜といっしょにこれらの心象スケッチを世間に提供するものである。注文の多い料理店はその十二巻のセリーズの中の第一冊でまずその古風な童話としての形式と地方色とをもって類集したものであっ・・・ 宮沢賢治 「『注文の多い料理店』新刊案内」
・・・荒壁のうしろに、小さい一枚畑があって蔬菜が作ってある。手拭をかぶった女子が、雨にかまわず畝のところにかがんで何かしている。それがいつまでも遙か下の方に小さく見えた。 雨中、福済寺を見る。やはり黄檗宗で、明の帰化人、陳冲の子頴川藤左衛・・・ 宮本百合子 「長崎の印象」
出典:青空文庫