・・・ レーニンが、世界の歴史を一転させた十月革命を通して、贅沢どころか一身の休みを考えるひまさえなかったことは、誰にでも分るけれども、質素をきわめたレーニンの室を眺め、窓からスモーリヌイの巨大な建物の裏側の景色を眺めているうちに、日本女は、・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ 冬ごもり ○自由でない水 ○石炭のすすで足袋などすぐ黒くなる部屋 ○雪がつもり、窓をふさいだ家の裏側 ○まるで花のない部屋 老ミセス、バチェラー ○大きい猫目石のブローチ ○・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・その長方形が表側と裏側とに分れていて、裏側が勝手になっているのである。 東京から来た石田の目には、先ず柱が鉄丹か何かで、代赭のような色に塗ってあるのが異様に感ぜられた。しかし不快だとも思わない。唯この家なんぞは建ててから余り年数を経たも・・・ 森鴎外 「鶏」
出典:青空文庫