・・・当時の僕の柔道友だちは西川英次郎一人だった。西川は今は鳥取の農林学校か何かの教授をしている。僕はそののちも秀才と呼ばれる何人かの人々に接してきた。が、僕を驚かせた最初の秀才は西川だった。 三九 西川英次郎 西川は渾名・・・ 芥川竜之介 「追憶」
・・・試みに西川一草亭一門の生けた花を見れば、いかに草と木と、花と花と、花と花器とのモンタージュの洗練されうるかを知ることができる。文人風や遠州好みの床飾りもやはりそうである。庭作りもまたそれである。かしこの山ここの川から選り集めた名園の一石一木・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・ 西川一草亭の生花の展覧会などはある意味で花やくだものと容器とのモンタージュの展覧会であるが、あれをもっと拡張したような展観方法があってもいいと思う。 器物の美にはもちろんそれ自身に内在する美があるには相違ないが、それを充分に発揮さ・・・ 寺田寅彦 「青磁のモンタージュ」
・・・それよりも広いあらゆる日本の芸道の世界を背景とした俳諧の研究も将来望ましいものの一つである。西川一草亭の花道に関する講話の中に、投げ入れの生花がやはり元禄に始まったという事を発見しておもしろいと思った。生花はもちろん茶道、造園、能楽、画道、・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・書家には西川春洞、篆刻家には浜村大、画家には小林永濯がある。俳諧師には其角堂永機、小説家には饗庭篁村、幸田露伴、好事家には淡島寒月がある。皆一時の名士である。しかし明治四十三年八月初旬の水害以後永くその旧居に留ったものは幸田淡島其角堂の三家・・・ 永井荷風 「向嶋」
・・・それにつれて考えた ○人格の真の力の養い、 ○西川文子氏の話 ○伊藤朝子氏 ○Aの「かまわない」 ○自分とT先生との心持 ◎敏感すぎる夫と妻 ◎まつのケット ◎本野子爵夫人の父上にくれた陶器、 ◎常磐木ば・・・ 宮本百合子 「一九二三年冬」
出典:青空文庫