・・・ば三郎づれが鉄砲の音ぐらいにはびくりともせぬ強者そのお相伴の御免蒙りたいは万々なれどどうぞ御近日とありふれたる送り詞を、契約に片務あり果たさざるを得ずと思い出したる俊雄は早や友仙の袖や袂が眼前に隠顕き賛否いずれとも決しかねたる真向からまんざ・・・ 斎藤緑雨 「かくれんぼ」
・・・や家族、私有財産及び国家の起源に関するエンゲルスの著作などは、その見解に対する賛否はいずれにせよ、その部門での古典として何人も読まざるを得ないものであるから、既にこれらの極めて具体的でありリアリスティックな諸研究のうちに十分とりあげられ、そ・・・ 宮本百合子 「先駆的な古典として」
・・・二人の筆者は、いわゆる転向の問題賛否それぞれの見解を今日の現象の上にとりあげ、内容の分類を行い、問題の見かたをわれわれに示した。 そもそも転向作家に対してその行為を批判し得るのは、抵抗しつづけている者だけであるという結論に至るらしい大宅・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
出典:青空文庫