・・・ ところが、農村に於ける農民大衆=一生モスクワというところを自分の目で見る機会がないような辺鄙なロシアの田舎で「十月」を経験し、国内戦を闘い、そして今は五ヵ年計画による集団農場建設のために努力しているソヴェトの農民大衆の芸術に対する反響・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・日本語のできる郁達夫はビルマの辺鄙な村にかくれて戦禍をさけていた。遂にそこへも日本軍が侵入して来た。或る日、往来で土地の住民が虐殺されかかっているのを見て、郁達夫の唇から思わず日本語がほとばしった。土地の住民の命はそのために救われ、郁達夫は・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・冬ごもりの期間にどうやら継続的に文学の仕事にたずさわることが出来るとして、ずっと辺鄙な地方での生活は文化的な雰囲気というものに欠けていて、その点でのいい刺戟を求める心持の激しさは、やはり東京へ、という思いに駆り立てる。 これまで、誰も彼・・・ 宮本百合子 「文学と地方性」
・・・その時分ロシアの辺鄙な田舎の果でもツァーの官吏や司祭らが、どんな腐敗した醜聞的日常生活を営んでいたかは、その時の経験を書いた「番人」その他にはっきり現れている。 ニージュニイで再び急進的インテリゲンツィアの群に加わった。情勢は移って「資・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
出典:青空文庫