・・・…… 追記 不道徳とは過度の異名である。 仏陀 悉達多は王城を忍び出た後六年の間苦行した。六年の間苦行した所以は勿論王城の生活の豪奢を極めていた祟りであろう。その証拠にはナザレの大工の子は、四十日の断食しかしなかった・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・『新ロマン派』で追記風にある同人雑誌のある人をほめていたことばを見て、ねたましく思ったこともあります。何をかいたか、自信がありません。これだけでもうヘトヘトです。毎日毎日つかれている。何ごとをするのでもなく。 ほとんど休んでばかり居れば・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 追記。文芸冊子「散文」十月号所載山岸外史の「デカダン論」は細心鏤刻の文章にして、よきものに触れたき者は、これを読め。「衰運」におくる言葉 ひややかにみづをたたへて かくあればひとはしらじな ひ・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・という書物を寄贈された、ここに追記して大泉氏ならびに伊藤氏に感謝の意を表したいと思う。 八 黒焼き 学生時代に東京へ出て来て物珍しい気持ちで町を歩いているうちに偶然出くわして特別な興味を感じたものの一つは眼鏡橋す・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・ 一九四九年八月一日 追記 この集の編輯が終り、再校が出てしまってから、ふとわたしの気にかかることができた。それはこの集に収められている「若い女性の著書二つ」のなかでふれている野沢富美子さんのことについてである。・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・一九四六年六月補〕 追記 一九五〇年二月、新海覚雄氏によって、「ケーテ・コルヴィッツ――その時代、人、芸術」という本があらわされた。 一九三三年、ナチスが政権をとってから第二次大戦を通じて、ケーテはどうしていただろうというわ・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・ 第一期 追記 この「今日の日本の文化問題」が、書き終えられたのは一九四八年三月下旬であった。それから後こんにちまで五ヵ月ほどの間に、日本の社会情勢と、文化の状況とは一つの新しい段階に入った。・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ 追記 この文章は、当日の出席者である書記長、文化部、文学グループへ提出します。この文書に対して再び自己批判がないとか、ごうまんであるとかいう意見があるかもしれません。しかし、形式的に長いものにまかれろ式の確信のない自己否定・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・追記 この速記録は例によってわたしの早口から混乱したものになっていたので補足したと一緒に後半の通信活動の分を整理して殆ど新しく書きました。サークル活動が種々の問題を提起しているし、民主主義文学の成長の基盤が漠然と人民的とか労働者生活・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫