・・・そうして映画の驚異の多分な可能性がこれに連関していることは疑いもないことである。 空間についてはわれわれはパースペクティーヴの原理によって日常ある点までは映画におけると同様な尺度の変更を体験しているのであるが、時間についてはこれに相応す・・・ 寺田寅彦 「映画の世界像」
・・・ここにジャングルの生命の深いなぞがあり、これと連関して人生のなぞがあり、社会のなぞがある。このジャングルのなぞが解かれる日までは、われわれはそう軽々しくいろいろなイズムを信用して採用するわけにはゆかないであろうという気がするのである。・・・ 寺田寅彦 「映画「マルガ」に現われた動物の闘争」
・・・それは、この怪異はセントエルモの火、あるいはこれに類似の空中放電現象と連関したものではないかという事である。 右の磯氏の記述によるとこのギバの現象には二説ある。その一つによると旋風のようなものが襲来して、その際に「馬のたてがみが一筋一筋・・・ 寺田寅彦 「怪異考」
・・・一体科学者が自己の研究を発表するに当って、その当面の問題に聯関した先人の研究を引用し批評するのは当然の務めである事は申すまでもない。しかしこれが往々にして骨董的傾向を帯びる事がある。すなわち当面の問題に多少の関係さえあれば、これが如何に目下・・・ 寺田寅彦 「科学上の骨董趣味と温故知新」
・・・もっともっと複雑な例を取って、たとえば人がその愛する人の死に対していかに感じいかに反応しいかに行動するかという場合になると、もはや決定さるべき情緒や行為を数量的に定めることもできないのみならず、これに連関する決定因子やその条件のどれ一つとし・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・もちろんこれらが全部関係があるということは言われないが、これらのうち若干は連関しているであろうということを暗示するには充分であると思う。それでもし偶然でないとすれば以上にあげたような言語要素がいろいろな形で他の火山名の中にも現われていはしな・・・ 寺田寅彦 「火山の名について」
・・・の心理に深い連関をもっています。民主的文化確立の道は、この社会的基盤の分析という段階から既に文学そのものの創造によって、人民の哲学そのものの確立によって、新しい知性と美の流露によって、知的に心情的に、「しかし」の谷間まであふれてゆかなければ・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・の中に痛切な連関をもってわたしたちを再び考えさせる。日本ロマン派の亀井勝一郎、保田与重郎などが、あの時代「抽象的な情熱」として万葉王朝時代の文化の讚美をおこなった。そのことは、こんにちの亀井勝一郎のジャーナリズムでの活躍の本質と決して無縁な・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・現代のすべての女性はおそろしく高価な教訓によって、一身の幸福といい不幸ということが、社会事情との連関なしに語れないという現実だけは、はっきりと学びとった。 ここに集められているすべての文章は、一貫して一つの意志をもっている。それは、わた・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・あげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩のこらない作品の型もプロレタリア文学の中にあってよいのではないかという風に問題をおこし、プロレタリア文学のジャンルの問題に連関させていた。 その晩、自分は最後・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
出典:青空文庫