・・・勤めている或る週刊新聞社は、赤坂の電車通りに面して建っていた。水色のペンキで羽目板を塗り、白で枠を取った二階建ての粗末なバラックであった。階下が発送部で、階上が編輯室だ。誰かが少し無遠慮に階段を下りると、室じゅうが震えるその二階の一つの机、・・・ 宮本百合子 「街」
・・・彼は週刊新聞、『労働者生活』を三ヵ月分予約した。 その労働者が立ってる定期刊行物見本テーブルは幾分土曜日夕方のハイド・パアクにおける言論市場をほうふつさせた。労働組合の機関紙、炭坑組合新聞などが党の刊行物とともに売られている。 ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・ 四月二十三日の週刊朝日「菅証人はなぜ自殺したか」という記事は、特別調査委員会における速記録の一部をのせて、この悲劇の核心を照し出しています。 委員たちが、菅氏にしつこく、くい下った質問は、どれも常識をはずれたいいがかりと、・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
『婦人民主』が週刊紙として発刊されることになった。日本の明るい民主化のために、人口の半分どころか三百余万も多い婦人大衆が、どんなに重大な役割をもっているか。このことについては、婦人が急速に自覚しはじめているばかりでなく、心あ・・・ 宮本百合子 「われらの小さな“婦人民主”」
出典:青空文庫