・・・山本権兵衛と見立てたのは必ずしも不適評ではない。 が、骨相学や人相術が真理なら、風の似通っている二人は性格の上にもドコかに共通点がありそうなもんだが、事実は性格が全く相反対していた。二葉亭にもし山本伯の性格の一割でもあったら、アンナにヤ・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・非凡なる凡人というが最も適評かと僕は思っている。 僕は知れば知るほどこの男に感心せざるを得ないのである。感心するといったところで、秀吉とか、ナポレオンとかそのほかの天才に感心するのとは異うので、この種の人物は千百歳に一人も出るか出ないか・・・ 国木田独歩 「非凡なる凡人」
・・・「間口がひろくて、浅いところは我ながら成程適評だと思うね」「――でも、お父様は小皿じゃないわ。かなりなお皿よ、深い大きい壺もその上にのせることの出来る皿だわ」 そんな話もした。それから別の夜であったが何かの拍子で、母が父と結婚の・・・ 宮本百合子 「わが父」
出典:青空文庫