・・・幸い美人だから邪険にされなくてまあまあです。 カロッサの小説は、極く始めですが、大戦直後のドイツの真面目な心の諸問題を扱っていて面白いし、不幸をそういう形で経験し、表現し得た二十五年前を考えます。シュミット・ボンにもこの時代の作品で一寸・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・警官がそれを邪険に追い立てて散らしている。「働く婦人の夕べ」準備委員会はすぐ抗議団として、弁護士布施辰治、司会者等を築地署へ抗議のために送った。高等主任に会い、折から居合わせた警視庁の高等係とも掛け合ったが、彼等は何と卑劣でしょう。自分・・・ 宮本百合子 「日本プロレタリア文化連盟『働く婦人』を守れ!」
・・・ 何ぼうはあ」 真青な顔をして、あの黒子を震わせていた禰宜様宮田は、気を兼ねるように、猛り立つお石の袂を引っぱった。が彼女はもう止められないほど気が立っている。 邪慳に彼の手を払いのけるとまた一にじり膝行り出て、「何ぼう、は・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
出典:青空文庫