・・・と言って、急いで上手な鍛冶屋をおよびになりました。けれどもその鍛冶屋には、第一、お城の門の錠前にはまる鍵がどうしても作れませんでした。しまいには国中の鍛冶屋という鍛冶屋がみんな出て来ましたが、だれ一人その鍵をこしらえるものがありませんでした・・・ 鈴木三重吉 「黄金鳥」
・・・これも気に入った。鍛冶屋の煙突から吹き出る真赤な焔が黒い樹に映えて遠い森の上に青い月が出ている絵も欲しかったが、何となく静かなこの「森の絵」にきめた。粗末な額縁をはめてもらってその上を大事に新聞で包んで店を出た時は、心臓が高い音を立てて踊っ・・・ 寺田寅彦 「森の絵」
・・・ ここには世界の全人民解放の日まで生産に文化に夜となく昼となくうち鳴らす階級の鍛冶屋、われら闘う人民の若々しい槌の音が、町から村へ、国から国へと鳴り響いていようというものだ! 附記「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」は昨年の一・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・、多数の新しい労働者、集団農場員幹部をもつようになったこと、労農文学通信員からおびただしい新進作家が輩出して来たこと、及び、スターリンが演説の中でもいっている通り、旧インテリゲンチア、作家団でいえば「鍛冶屋派」や「同伴者」たちが、現実の社会・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・ 例えば、日本にピリニャークが来た時代はソヴェト文壇はよい作品を書く作家と云えば、大体、同伴者或は鍛冶屋派の作家であった。ところが、最近文壇の指導勢力は最も社会主義的社会建設の為に、ハッキリした理解と協力し得る最左翼の芸術団体であるプロ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術」
出典:青空文庫