・・・ 朝から仕事にかかる心組みで、食後机に向った。一回分の半以上迄無事に進んだが、そのうち又、心についてはなれない感動の余波で注意が、仕事から逸し勝ちになる。自分は総てこの一事によって経験した自分の心持ちを書いたら、幾分頭はしずまり、仕事に・・・ 宮本百合子 「有島武郎の死によせて」
・・・学校の中に、学生や先生のために、便利で健康的な食堂が出来ていて、廉価に滋養のあるランチが得られます。食後、暫く構内の散歩をし、誘い合って帰宅する時間まで、三時間なり四時間なり又研究を続けると云う訳なのです。 両人に仕事のある日、夕飯は、・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 気の勝った理智的でまた一方に非常にデリケートである彼が家族中での被注目者であった事は勿論です。 食後等はよくその頓智の利く「おどけ」で家中が笑わされました。 兄姉達は皆彼を愛し尊がって居るのですから今度の病気がどんなに多くの頭・・・ 宮本百合子 「二月七日」
・・・自分は毎朝、食後、時事新報の広告欄を見る。時には、「嫁入度」などと云う活字の下を、驚と、好奇心と相半ばした心持で読みなどし乍ら、「貸家、赤坂見附近」と云うような文字でも見つかると、心をあつめて、間数や家賃を読むのである。 始め、片町を見・・・ 宮本百合子 「又、家」
出典:青空文庫