・・・それゆえにただわれわれの心のままを表白してごらんなさい。ソウしてゆけばいくら文法は間違っておっても、世の中の人が読んでくれる。それがわれわれの遺物です。もし何もすることができなければ、われわれの思うままを書けばよろしいのです。私は高知から来・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・「女は柔(しい名の方がどれだけいいんだか…… 私の若い頃は名のあんまりすごい女はいやがられたもんだ……」 母親が娘の苦情をきいた半に斯う云った。「ソウ、咲くかと思えばじきにしぼんで散ってしまう花――じきにとしよりになる様なお・・・ 宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
・・・女「そんな御心、ソウ」と云ったきり何も云いませんでした。けれ共いつものようにうたをうたって胸によったまま詩をうたってかえりました。詩人は別に気にもとめませんけれ共女の顔には此の上もない愁の色がみなぎっています。片手を少年のうでによせてう・・・ 宮本百合子 「無題(一)」
・・・九三年正月初めてニューヨークに現われた時には、ヒュネカアの語を藉れば She attracted a small band of admirable lunatics who saw her uncritically as a symbol・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫