出典:青空文庫
・・・私はもし何かの折に書けるなら、イリーンが「書物の歴史」だの「時計の歴史」だのを書いたような工合に、歴史の中で、子供というものが太古から今日まで、どんな生活をして来たかというその変遷の物語か書いて見たいとは思うけれど、小説風なおはなしは書きた・・・ 宮本百合子 「子供のためには」
・・・そこで人類の祖先たちは、イリーンが面白く旅行しているように、一定の約束をもった長さ、短かさで棒に記号を刻みつけたり、ぶら下げた繩にそれぞれ約束できめられている形で結び目をこしらえたりしはじめた。 人類が、火をこしらえる方法を発見したこと・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・ イリーンが、科学の知識を、ああもわかりやすく、ああもよろこばしく語り得るのは、彼が、専門の知識に通暁しつくしていて、その上に、人類がより明るく智慧の光りに照らされて生きる愉しさを、知りつくしているからではなかろうか。知りつくしたことに・・・ 宮本百合子 「よもの眺め」