出典:青空文庫
・・・ジェーン・オースティン。ブロンテ姉妹。ギャスケル夫人。フランスでは、スタエル夫人をはじめ、日本の読者にもなじみの深いジョルジ・サンドなど。そして注目すべきことは、これらの婦人作家たちがスタエル夫人のほかはみんな中流階級の女性たちであったこと・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・をするためにどんな滑稽なひそひそ騒ぎが演じられるかということは、ジェン・オースティンの作品を見てもわかる。彼女の書いた「誇と偏見」は彼女のような所謂ちゃんとした「淑女」でさえもどんなに「ちゃんとした結婚」への騒ぎに対しては皮肉と憐憫とを感じ・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・ 増田の父親の経営している会社の子会社へ、若専務として幸治はオースティンで通っているのであった。 苦労のない三人がストウブのまわりで顔をつき合わせて何や彼やと、やや倦んじたところへ多喜子が来たのも、小さい新しい一つの刺戟であるという・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
・・・ジェーン・オースティンの小説や「嵐ケ丘」でブロンテが書いたような、イギリスの中産階級の人たちの「ちゃんとした結婚」の観念もかわった。 こんどの第二次世界大戦は、ファシズムに対して勝利した国々においてさえ、その社会が蒙った戦傷は深刻で、イ・・・ 宮本百合子 「離婚について」