出典:青空文庫
・・・ 何となく私には、幽暗なロシア――ガルシンを産み、ステプニヤックを産み、ゴルキイの産まれた怖ろしいような、なつかしいような、神秘的な土地――を、この話によって思い出さずにはいられなかったからです。 芸術は人生のために、その存在の意義・・・ 小川未明 「自分を鞭打つ感激より」
・・・を始め戦争に際しては多くが簇出しているし、また日露戦争中、二葉亭がガルシンの「四日間」を訳出している。「四日間」の戦争の悲惨を憎悪した内容が二葉亭の当時の態度を暗示しているかもしれないが、それらは、若し次の機会があらば、すべてをまとめて、も・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・その他の意義はどこにあったろう。ガルシンの「赤い花」が西欧の読者の胸をうったのは、そのシンボリズムが何を語っていたからであったろう。 公然と条理をもって、しかも人間的機智と明察をもって、どこまでもユーモラスに、だが誰憚らぬ正気な状態にお・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ ガルシンの「赤い花」は昔のロシアの苦しい、つきつめた正直なこころの破局的な象徴として、文学史の上に、今日一つのゆるがない場所をしめている。「稲草人」「古代英雄の石像」などが、中国文学史の上で中国の悲傷、誠意、人民の惨苦への愛と民衆創造・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・ ガルシンはこの二人の喧嘩についてこう書いた。「ツルゲーネフの言によると、トルストイがツルゲーネフのことで一番癪にさわっていたのは、極めて冷静に文学的著作に従事しているその態度であった。」そして、「ツルゲーネフが善事に向って進むという、・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」