出典:青空文庫
・・・このことは今日の私たちが、生活と文学における自分の肉体の新しい価値、新しい美を見出し、未来のミケランジェロのために、深く追求してゆくべき点だと思う。現代の進歩的な文学が肉体の叫びの新しい局面をその文学的実感の中にとらえてゆくことは、私たちが・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・ この年の九月にマリアは母や叔母たちおきまりの同勢でミケランジェロの四百年祭を見るためにイタリーのフロレンス市へ旅行した。趣味のある娘ならその前で讚美するのがきまりとなっているラファエルの聖母を、マリアははっきり自分は不自然だからきらい・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・態度そのものの問題としては、どちらかが間違っているとは言い切れない。ミケランジェロは最後の審判において彼の幻想を描いた。平安朝の大和画家は当時の風俗の忠実な描写をやった。しかもミケランジェロは今の洋画の祖先として似つかわしく、大和画家もまた・・・ 和辻哲郎 「院展遠望」
この問題を考えるには、まず応仁の乱あたりから始めるべきだと思うが、この乱の時のヨーロッパを考えると、レオナルド・ダ・ヴィンチは二十歳前後の青年であったし、エラスムス、マキアヴェリ、ミケランジェロなどはようやくこの乱の間に生まれたのであ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」