出典:青空文庫
・・・ 次に堺氏が「ルソーとレーニン」および「労働者と知識階級」と題した二節の論旨を読むと、正直のところ、僕は自分の申し分が奇矯に過ぎていたのを感ずる。 しかしながら僕はもう一度自分自身の心持ちを考えてみたい。僕が即今あらん限りの物を抛っ・・・ 有島武郎 「片信」
・・・ レーニンの弁証法に、ブハーリンの史的唯物論に、もとより真理のある事を否まない。且つ、科学的基礎のあることをば信ずる。たゞこれを漫然と繙くものに、いずこにか、ナロードニーキの運動を嗤う権利があろう? 現代は、科学的という言葉に、あま・・・ 小川未明 「純情主義を想う」
・・・ 今日では、レーニンを殺伐な組織の上の革命家とのみ見るものは少なくなったようです。彼は、殉教者であり、熱烈な無産階級の代弁者であり、また、実に其のものであるのです。『働かざるものは食うべからず』『彼等麺麭を得る能わざるに、菓子を食う・・・ 小川未明 「民衆芸術の精神」
・・・銃や、機関銃や、大砲に対抗するのに、弓や竹槍や、つぶてではかなわない、プロレタリアは、ブルジョアに負けない優秀な武器を自分のものとしなければならない。レーニンは次のように云っている。「武器を取扱い武器を所有することを学ぼうと努力しない被抑圧・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・が少しも錯覚のないものであったら、ヒトラーもレーニンもただの人間であり、A一A事件もB一B事件も起こらず、三原山もにぎわわず、婦人雑誌は特種を失い、学問の自由などという言葉も雲消霧散するのではないかという気がする。しかしそうなってははなはだ・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
・・・ しかしまた、同じような考え方からすれば、結局ナポレオンも、レーニンも、ムソリニも、ヒトラーも、やはり一種のエレベーターのようなものかもしれないのである。 三 げじげじとしらみ 父は満五十歳で官職を辞して郷里に・・・ 寺田寅彦 「蒸発皿」
・・・「――それで、諸君が、レーニンさんになんなはっとだろうたい」 しかし、つりがねマントの学生たちは、長野や高坂と同じではなかった。“中央集権”是か非か。“ブルジョア議会”の肯定と否定。“ソビエット”と“自由連合”。労働者側では小野が一・・・ 徳永直 「白い道」
・・・思想方面では、レーニンやトロツキイの共産主義者を始め、それの対蹠であるファッショや強権主義者等までが、多少みな間接にニイチェの影響を蒙つて居る。文学の方面では、ドストイェフスキイや、ストリンドベルヒや、アルチバセフや、アンドレ・ジイド等が、・・・ 萩原朔太郎 「ニイチェに就いての雑感」
宮本顕治には、これまで四冊の文芸評論集がある。『レーニン主義文学闘争への道』『文芸評論』『敗北の文学』『人民の文学』。治安維持法と戦争との長い年月の間はじめの二冊の文芸評論集は発禁になっていた。著者が十二年間の獄中生活から・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・がでました。レーニンの言葉を引用して、歴史の事実をゆがめ、労働者階級の任務を歪曲した議論がまとめられていることに、多くの人が驚きました。 知識欲のさかんな若い人々、レーニンが云っているように向上心にもえ、階級の武器として、あらゆる知識を・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」